2013/05/31

中華文明

$私は書きたい

今朝、午前7時ごろ、自転車で自宅から都心に向かうときの空。
雲間に見えた雨上がりの青空が、ものすごく美しかった。

こういうのを「雨過天青」というのだろう。
数日前、NHKの「仕事の流儀」を見ていたら
染織家の志村ふくみさんが藍染めのなかで「究極の藍」として目指している色が、
この「雨過天青」であることを知った。
これは、藍染めのなかでは、「かめのぞき」と呼ばれるそうだ。
藍染めのなかでは、もっとも薄い色ということになる。

かめのぞきは、藍の原液が色を出し切った最後の瞬間にしか出ない色だという。
染色を極めた人が、限界の藍の薄さに惹かれるのは興味深い。

さらに思い出したのが、中国の青磁の究極と言われる汝窯である。
北宋の徽宗皇帝が最もこだわって制作を命じて汝窯のみで造り出され、
その後はどうやっても再現が出来ていないという色である。
青から白への移りゆくなかで出て来るような「雨過天青」に、
中国史上指折りの愚帝でありながら指折りの芸術家だった徽宗は惹かれ続けた。

こういう空の色は、一年のうちでも、なかなか見られるものがない。
朝から得した気分になった。

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