2013/09/16

エンタメ

歌手のワンフェイ(王菲、フェイ・ウォン。私はワンフェイが言いやすいので)が離婚した。
数日前にニュースが流れてから、中華圏のメディアはたいへんな騒ぎである。
私だけでなく、おおかたの人がそのうち離婚すると思っていたが、
この騒ぎを見ると、ワンフェイがいまの中華圏でトップのカリスマであることが分かる。

ワンフェイの人気については、日本人に説明するのがなかなか難しい。
最近はとくにアルバムを出すというわけではないし、映画にもなかなか出ない。
ただ、存在自体が常に注目され、ニュースになっているので、「過去の人」にならないのである。

スターとしては、ワンフェイが尊敬するテレサ・テン以来のカリスマになりつつあると思う。
私生活が不調で、チベット仏教にはまって出家がうわさされていることなどを考えると、テレサ・テンと同じように若くして悲劇の最後を遂げなければいいのだが。

ワンフェイとは同じ世代なので、いつも気になってきた。
中国生まれで、8歳で香港に移住したワンフェイのデビューは1992年。
広東語の歌で、独特の高くて細い歌声で一世を風靡した。
「容易傷受的女人」の切ない歌声が衝撃でCDを繰り返し聞いた記憶がある。
身長172センチ、体重50キロのか細い体。
しかし、目の力が異様に力強く、古風な美人という顔立ちも加わって、
不思議ちゃんというイメージが最初からあった。

とにかく基本的には男性を見る目がない、という点では誰も反論しないだろう。
最初の彼氏はロックバンドのキーボードで、次は同じバンドのシンガーと結婚。一子をもうけたが、結婚から数年で離婚し、今度は八歳年下の香港のアイドルのニコラス・ツェーと付き合った。

ニコラス・ツェーはいまは立派なスターになったが、当時はバカ丸出しの若者で、とにかく顔がいいこと以外に付き合う理由が考えつかなかったが、相手を選ぶ基準が分からないところがワンフェイらしいとしか言いようがなかった。

その後まもなく予想通り別れて、中国へ転居し、元俳優で事業家の李亜鵬と結婚して子供も作ったのだが、この男もあちこちで「小三」(浮気相手)を作ってしまう女たらしのため、
今回もフェイウォンがもう耐えきれなくなって離婚に踏み切ったと推測されている。

ただ、李亜鵬が離婚直後に発した微博で「私は家庭が欲しかった。君はレジェンドをせいぜい作ってくれ」みたいなことを言っていたが、
きっとワンフェイの仕事の取り組みをめぐって不満があったのだろう。
しかし、私に言わせれば、ワンフェイという「公共財」と結婚した以上、
それなりに家庭を犠牲にすることを想定していない方がおかしく、
離婚の最後のいいわけに女々しいことを言い捨てる男に惚れたワンフェイが、
やはり男を見る目がなく、それもまたカリスマのスターらしいとも言えるのだろう。

© 2024 Nojima Tsuyoshi