2014/03/03

日本グルメ

世界的に和食ブームで、どこの国でもレベルの高い和食が、それほど苦労なくリーズナブルな値段で食べられるようになった。
世界的に和食はすっかりクールジャパンの代表格として認知され、
無形文化遺産にも登録されて、和食の未来はますます明るそうに見える。
そのなかで、和食の中心料理の一つなのに、なぜか目立たないのが、蕎麦である。
そもそも外国で目立たない以前に、蕎麦は日本で目立っていない。

いろいろ理由は考えられる。
まず蕎麦屋さん自身のプロデュース力が不足しているような気がしている。
店構えもメニューも、ほとんどどこに行っても同じだ。
それがいいという人もいるのだろうが、食の多様化した最近では、いささか退屈な印象がある。
価格設定もよく分からないところがある。ざる蕎麦は、ちゃんとした店で食べれば、一枚が700円とか800円する。ラーメンなら、チャーシュー麺煮卵つきの値段だ。ざる蕎麦は一枚では腹がふくれないので、もう一枚頼むと、ホテルの和定食の値段になる。
天ぷらをつけると、1500円や1700円にはねあがる。鴨南蛮そばにしても、たいてい価格が倍になる。
しかし、ラーメン屋やうどん屋ではトッピングはたいてい100円とか200円プラス。蕎麦屋だけ、どうして、こんなに値段差があるのだろうかと疑問を持ってしまう。
ちゃんと聞いてみれば、手間をかけたものにはそれなりに理由はあると思うのだが、
要は付加価値があることを消費者が理解できる説明や仕掛けが不足しているので、
なんとなく価格に対して納得感が得られないところがある。

先日、駒込の蕎麦の名店、総本家小松庵のリニューアルお披露目に、知人に誘われて出かけた。

蕎麦コースをいただいたいのだが、前菜に驚かされた。
すべてそばを使った料理なのだという。

次に驚いたのが、ざるで出てきたそばの味。
そばの香りが強い。しかも、何か薫製のような良い香りがする。
私は、やぶ蕎麦のような、白すぎるそばはあまり好きな方ではないが、
一方で、太すぎる「田舎そば」もあまり得意ではない。
細すぎず、粗すぎず、理想のざるの味で、もう一枚、おかわりしてしまった。

お店の内装もシンプルかつ広々としており、従来の狭い席で肩を狭めて蕎麦を食べるスタイルとはまったく違うものを目指していることが伝わってくる。

食事の間、小松社長や、店長など調理場の皆さんも挨拶に立たれたのだが、
普通、和食の職人さんはトークはあっさりとしているのだが、
皆さん、良い意味で饒舌に理想を語り、日々、蕎麦の良さを守り、同時にもっと魅力的なものに変えていくために努力したいという思いが共有されていることが伝わってきた。
こういう蕎麦屋さんが増えることが、蕎麦文化の再生や海外発信につながると思う。

小松庵HP
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