2017/05/11

その他

 日本人軍事顧問団「白団」83人のおそらく最後の生き残りである瀧山和さんが最近、他界されました。
 撮影中の白団に関するドキュメンタリー映画の取材を昨年させていただきましたが、完成版をお届けすることができなかったのが大変残念です。101歳というご高齢ではありましたが、ご家族のお話によると、息を引き取られる前日まで大変お元気で、毎朝6時におきて新聞を読み、世界情勢や国内政治のことを考えたり、パソコンで囲碁や将棋を楽しんでおられたそうです。
 思えば、「ラスト・バタリオン」を書くために白団の取材を始めたとき、83人のメンバーのうち、生き残りの方を探し出す作業で大変苦労してずいぶん時間をかけました。その末に3人の生き残りがいることがわかりました。うち取材に応じてもらったのが、瀧山さんともう一人の糸賀さんでした。2人とも、相手を値踏みしながら、情報をちょっとずつ出すような話しっぷりが印象に残っています。瀧山さんには世田谷のご自宅の近くの喫茶店で何度かお会いし、心を開いてもらったように記憶しています。
 瀧山さんは、陸軍に所属するパイロットで、日本軍がロシア軍に完敗を喫したノモンハンでも空戦に参加した時代の生き証人でした。戦後は白団で教官として活躍されたあと、パイロットの経歴を生かして、航空測量会社を仲間たちと立ち上げました。
 とにかく話の引き出しの多い人で、取材者としては非常にたまらない喜びを感じさせてくれる方でした。白団の取材は、お話をうかがうタイミングとしてギリギリでした。歴史の幕が一つまた下りたという実感です。心からご冥福をお祈りいたします。


写真は昨年、ドキュメンタリーのインタビューをしたときのものです。

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