2017/07/21

その他

 今月の岩波書店は頑張っている。本屋で買った「世界」では「中国の最前線はいま」という特集で、香港、台湾問題を中心に取り上げてくれている。川島・倉田・福田各氏による三者対談はたいへん読み応えあった。ほかにも台湾のLGBT、脱原発について詳しいレポート。香港の黄之峰、周庭さんの日本訪問記、本田善彦さんの台湾政治論などがあってお得感ある。本田さんの台湾政治観察はいつも気づかない点を教えてくれるのだが、今回は台湾の現状への危機感が前面にですぎているのか、なんだかちょっと読みにくい。
 「現代台湾と(1945)」というタイトルの特集を組んだ「思想」は送っていただいたのだが、若林正丈先生の「研究動向 「台湾島史」論から「諸帝国の断片」論へ」や呉豪人先生の「転換不正義論」などをはじめ、読んでよかったと思える論考がたくさんあった。
 岩波は台湾テーマには、あまり熱心ではない、という印象があったけれど、変わってきたのかも。切り口はやっぱり岩波的であるけれど、それは媒体としてのスタンスということで問題なく、取り上げてくれることが有難い。

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