2011/08/06

台湾

 先日の台湾出張で休日になった日、台湾五大家族展がちょうど台中の中興新村にある国史館台湾文献館で開催されているというので、足を伸ばして見に行った。
 
 台北から台湾新幹線で1時間、さらにタクシーで30分ほどの距離にある中興新村は、かつて台湾省の省都だったところで、巨大な建造物が山の中に忽然と出現した不思議な空間になっている。台湾省が1990年代後半に廃止されたあとは、いくつかの行政機関を除いてほとんど撤退してしまい、半ばゴーストタウンのようになっている。
 そのなかで、国史館は比較的活発にいろいろな展示会をやることで知られており、この5大家族展も、辛亥革命100年にちなんで、台湾の歴史をつくってきた五大家族について初めて、包括的に資料を集め、展示するという前例のない展示会というふれこみだった。
 今年秋以降、台北や高雄でも展示をやるとのことだが、資料としてはこの国史館台湾文献館で展示するものが最も豊富だというから、見逃せないと思って足を伸ばした。
 
 あまりにも勉強になりすぎて、このコラムでも書ききれないので、あとでどこかの雑誌にでも発表できればとも思うが、本当によくできた面白い展示で、絶対にお勧めである。台湾の歴史に関心がある人は、ちょっと遠くて交通コスト(台湾ドルで2千元ほど=約6千円)もかかるが、行ってみてほしい。

 台湾の5大家族は、北から基隆・顔家、板橋・林家、霧峰・林家、鹿港‧辜家、高雄・陳家という顔ぶれで、どの家族も、清朝のころに中国から移民してきて台湾で財を築き、日本統治時代から戦後の国民党統治時代、そして現代に至るまで、台湾社会にとって極めて大きな存在であり続けている。

 どの家族も一つの大きな事業の柱を持っていることだ。顔家は金鉱・炭鉱、辜家は樟脳、陳家は砂糖というような形で、どれも日本の殖産事業と深い関わりを持っていたことも興味深かった。戦後もどの家族も国民党政権とうまくやっていく道を選んだようだが、国民党が台湾に来た当初はむしろ嫌がらせの対象になったようで、228事件のときには五大家族から何らかの金品を脅し取ろうとして逮捕者が相次ぐなど、いろいろトラブルも多かったらしい。
 そういえば、歌手の一青窈さんは基隆顔家の出身だし、経済アナリストのリチャード・クーさんも辜家の出身である。台湾の歴史の面白さは、日本とつながりと、中国とのつながりを両方抱えながら、台湾で独自の発展を遂げてきた姿を見ることができることだ。今回の5大家族展はその良い典型だと思う。

 
http://www.th.gov.tw/(国史舘台湾文献館のサイト)

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