2011/12/16
自分にとっての三冊目の単著、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)が今日発売になります。
この数カ月、一応、最も優先して取り組んできた課題でもありました。
6月末に「ふたつの故宮博物院」を新潮社から出して、勉誠出版の方々が連絡を取ってきてくれて、
清明上河図について、入門書のようなものを書いてみないかと打診してくれました。
勉誠出版は、「清明上河図を読む」という専門書(4500円!)も出していて、
この画については恐らく日本で最も精通している出版社です。
故宮の本を書くとき、この画の面白さ、謎の多さ、政治的な利用のされ方などにすごく関心を持っていたので、いいチャンスだと思って書かせてもらうことにしました。
書き始めたのは9月ぐらいからなのですが、とにかく最初は日本と台北の図書館を回って、
あと、中国のネット書店も活用して、ありったけの文献資料を集めました。
10月と11月は、中国の開封や、瀋陽、北京などを、週末のたびに出かけていって、
現地取材をして、現地の感触と文献資料をどうやって融合させるか苦心してきました。
秋ぐらいに清明上河図が今年の1月に東博が予定している展覧会に来るかも、という情報が流れて、
そうしたらこのテーマへの関心が高まると期待したのですが、
11月ぐらいには「やっぱり来ないようだ」ということがうわさで伝わってきてがっかりしていたら、
12月になって事態は急転回して、清明上河図が初の海外出展として日本に来ることになったのは、
先週の朝日新聞一面トップで報道された通りです。
この本は、清明上河図とは、こんな面白い画なんですよ、ということを、
日本の読者にもなんとかしっかり伝わるようにと願って書きました。
専門書と入門書の中間のような内容の本になったと思いますが、
これこそジャーナリズムの仕事でもあると思います。
手にとって読んでいただけると本当に嬉しいです。