2012/02/15

中国

書評というのは、書き手にとって気になるものです。
一つには、直接売り上げに関係してくるという経済的な理由もあるのですが、
それよりも、書くという孤独な作業のなかで、第三者の見方をどうしても知りたくなる、
という人間だれしも持っている「評価」への興味があるからです。

「イラク戦争従軍記」のときは、いくつか、かなり厳しい意見をもらいました。
言い分はありましたが、そう書かれるということは甘さもあったということだと納得しました。
「ふたつの故宮博物院」では、自分でも驚くほど、大手新聞の書評で軒並み取り上げられ、
ちょっとばかり恥ずかしい気分にもなりました。
「謎の名画・清明上河図」でも、最近、ちらほら書評が出ているのですが、
「週刊読書人」の2月3日号で、円満字二郎という筆者が「待望の入門書」というタイトルで、
書評を書いてくださり、手前味噌ではありますが、その内容がとても、とてもうれしいものでした。

「本書の最大の特色は、その記述の多くが、著者自身の実体験に基づいていることにある。『開封人はスープ好き』などという情報は、そういった取材抜きにはありえない」

「日本に伝わっている模写も、実際に取材した上で紹介してくれている」

「中国の遼寧省まで出かけてゆかりの人物を訪ねて話を聞くことを忘れない」

「開封市にある『清明上河園』というテーマパークに足を運んだ、(中略)このあたり、いかにもジャーナリストらしいアプローチが生かされた、たのしい読みものになっている」

この本は、一枚の絵をテーマにしていますが、美術書ではありません。
むしろ、通常の美術書のように専門家的な知識を披露するだけで終わってしまうことを避けようとして書いたものです。
一枚の絵を通じて、中国の社会、中国の歴史、中国の生活が分かる、そんな狙いを込めたものでした。
こういう書評を読むと、「書いてよかった~」と思わないでいられません。

© 2021 Nojima Tsuyoshi