2012/04/13

食とエンタメ

 台湾は美味しいものが本当に多いところだが、その中で一食だけこれを選びなさいと言われたらきっと選ぶのは、台北の慈聖宮にある「原汁排骨湯(パイグータン)」に違いない。

 慈聖宮というのは、台北のグルメの知る人ぞ知る聖地とも言える場所で、基本的にあまり外国人は行かないし、行きにくい。タクシーに「慈聖宮」と伝えても知らない人が多い。住所だけでもタクシーはたどり着けなくて道に迷ってしまう。いちばんいいのは「延平北路と涼州街の交差点を右に曲がってすぐ」と伝えることだろうか。慈聖宮は海の安全の神様・媽祖を祭っているところだ。

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 ここの排骨湯は主に三つの要素から構成されている。トロトロに煮込まれた排骨肉と、大根と、スープである。それ以外には潔いほど何も入っていない。

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 排骨肉はトロトロに煮込まれていて、口に中に入れると、自然に繊維がほどけていく。食べる前に、お店特製の唐芥子醤油につけ、ご飯と一緒に食べる。

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ご飯は、このお店のもう一つの売りのメニューである「魯肉飯」でもいいのだが、私としては、この店の隣の屋台で売っている「シラスチャーハン」を合わせるとさらに良いことが分かっている。

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 大根は、固くもなく軟らかくもなく、ちょうどいい具合にうまみを吸い込んでいて、こちらは唐芥子醤油につけてもつけなくても構わない。
 この二つは素晴らしい味なのだが、私にとっては、スープが飲めるのならば極端な話、肉も大根もなくてもいい。そう思わせるほど、驚愕の美味しさを毎回体験させれくれるのがスープである。一見、味が薄そうに見える。しかし、口に入れると、排骨肉のうまみをすべて出し切って、それを上品にしたような味わいで、あまりのうまさに眩暈がする。
 このお店のいいところは、スープの方は何倍でもお代わりできるところ。
 今回も、いつものように三回、おかわりした。
 あと、このお店の「小菜」は、キャベツ、酸菜、タケノコの三種類あり、15元と安いがどれもものすごく美味しくて、しかも大量によそってくれる。とにかく素晴らしいお店だ。

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 この慈聖宮のいいところは、屋台のレベルがどこも非常に高く、排骨湯以外にも美味しい料理を誇っている屋台がいくつもあることで、こうしたお店でいろいろ買い集めたものを、慈聖宮の玄関のスペースに作られているテーブルに持ち込み、春の暖かな日差しを浴びながら満喫していると、会社とか部数とか出世とか評価とか上司とか給料とか部屋の掃除とか、いろいろ面倒なことが、本当にどうでもよくなってくるなあ。

 
 

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