2012/04/19

台湾

去年新潮社から出した「ふたつの故宮博物院」が台湾で翻訳が進んでいて、
たぶん今年秋には出版されることになりそう。
いまタイトルを中国語で考えているところ。単純に「兩個故宮博物院」じゃだめかな。。。
生まれて初めて海外で本を出せることになって嬉しいのだけど、
それはそれとして、海外で本を出すことにからんだ版権ビジネスの仕組みってかなり面白い。

今回は、台湾の翻訳者、台湾の聯経文化という出版社、台湾のエージェント、日本のエージェント、日本の新潮社、私という6者がからんでいて、作業も契約もその間で複雑に取り交わされる。

さらに台湾と日本とは印税の仕組みが違っている。
日本は、出版社が本を刷るたびに、その分の10%がきちっと著者に入ってくるが、
台湾では、売れた分だけ著者に支払われる仕組み。
しかも、最初の5000部までが6%、次の3000部が8%・・という風に、
部数の増加によって著者の取り分が増えていく。

しかし、それだと、例えば5000部刷っても500部しか売れなかった場合、
著者に入ってくる収入があまりに小さくなってしまうので、
「アドバンス」といって前払いのお金が最初に台湾の出版社から支払われるのだという。
これは、日本における初版の印税にほぼ等しい金額となっていて、
「うまくできているんだな~」と感心してしまった。

それにしても、今回の「ふたつの故宮博物院」は決して何万部も刷ってくれる本ではないので、
アドバンスも当然、そんなに大きくはない。しかも本の価格はたぶん200元ぐらい(600円)。
それをまず台湾で20%の営業税が引かれ、台湾のエージェントと日本のエージェントが10%ずつもっていき、さらにそこから新潮社が3割とか4割とかたぶん引いていくので、
わたしのところに届いたころには、ほとんど台湾に一回か二回行けるような金額じゃないだろうか。

それでも、本というのはやっぱり「私こんなことしている人です」っていうことを、
他人に対してあえて説明しなくて済んでしまうという、とっても便利なもので、
海外では「朝日新聞?知らないよ」とか「ジャーナリスト、ふーん・・・」いう人も多いなかで、
現地語での本が出てくれることは大変ありがたいので、出版が待ち遠しい。

© 2021 Nojima Tsuyoshi