2012/04/21
面白くて、全編に勢いがあり、三年おきに一回ぐらい見たくなる映画だ。
2010年ナンバーワンの大ヒットで、初日の公開日の観客動員はアバターを超えた。
この映画、ひと言で言えば、若者の友情と破滅の物語。
舞台は、台湾・台北の代表的な繁華街である艋舺(モンガ)。
艋舺は、現在の台北の西門町あたりから龍山寺にかけて広がる繁華街のことで、
古い台湾の言葉でMONGAと呼ばれたのを無理矢理中国語の音にあてた表記だという。
若者たちが学校ではぐれ不良グループを組んで、
一緒に悪さをして友情を深めていくんだけど、
大人の社会の抗争に巻き込まれて、友情にもヒビが入っていき、最後には・・・。
印象に残っているのは、5人の不良たちが、どこかの廟でそろって手に線香を掲げて、
「我々は、違う年、違う月、違う日に生まれたけど、同じ年、同じ月、同じ日に死にたい」
といって、義兄弟のちぎりをかわすところ。
なんというか、若者のエネルギーと純粋さがとっても集約されていて、格好良かった。
監督は豆導の愛称で知られる鈕承澤(ニウ・チェンザー)。
主演は、この映画で金馬奨を取った阮經天(イーサン・ルアン)と、
「ブラックアンドホワイト」(ドラマは最高、映画は最低)で一躍ブレイクした趙又廷(マーク・チャオ)。二人とも、熱演していて良かったけれど、もっとも良い味を出していたのは、
ヤクザの親分役で、「海角七号」でも好演したベテラン俳優の馬如龍(マー・ルーロン)だった。
鈕承澤っていう監督は役者でもあって、今回も出演している。
この人、存在自体が面白い監督というか、台湾社会から愛されている人。
あんまり演技はうまくなくて、監督に集中したほうがいいんだけど、
「おれに映画に出るなって言われるほど、出たくなるんだよね」といつも冗談めかして話している。
この映画は、鈕承澤にとっては、きっと記念碑的な作品として記憶されていくんだろう。
それほど見事に一つの作品として撮りきったと言える内容になっている。