SRサンツア-という名前の台湾の自転車部品メーカーがある。
もともと変速機を日本で製造していたが、日本に見切りをつけて会社ごと台湾に渡り、
その後はサスペンションフォークを主製品に成功を収めて年商150億円ほどを稼ぎだして、
来年には台湾の一部株式市場に上場しようという勢いである。
台湾のジャイアントの劉会長がつくった「Aチーム」という業界グループにも、
2002年の発足時点から加わって、相互に技術力をたかめあってきた。
同社の小林大裕社長が拙著「銀輪の巨人」を読んで下さったということで、
わざわざ築地のほうまで会いに来てくださった。

最初に「銀輪の巨人には、Aチームは台湾メーカーしか入っていないと書いてあったが、サンツア-は日本のメーカーです」とおっしゃられたので、私の方からは「サンツアーはすでに日本を捨てて、台湾に根を下ろしています。それはもう台湾メーカーだと考えました」と説明すると、すぐに分かっていただけた。

そのあとは、日本の自転車業界について、完全に考えが一致したので、すぐに意気投合。

・日本企業は海外でいちいち本社にお伺いを立てないと何事も決められない
・日本の自転車メーカーは世界でいちばんの技術を持っていたのに、ママチャリのような安いものばかり作ってしまい、最後は競争力を失ってしまった
・日本の大手自転車メーカー(BSやパナソニック)は、部品メーカーをないがしろにしたので、日本から自転車の産業基盤が失われてしまった。
・その逆を行ったのが台湾で、だからジャイアントもメリダも成功している。

ということで話は盛り上がり、今度台湾に行くときは、彰化県にあるサンツア-の本社を訪ねさせてもらうことを約束した。

それにしても、元気よく楽しく仕事をしている人に会うと、こっちも元気がでる。
それに、自転車の本を勉強しながら書いたことが、まさに本業中の本業の人に多少なりとも肯定してもらったことには、正直、ほっと胸をなで下ろした気分だった。

© 2021 Nojima Tsuyoshi