2012/10/16
共同通信で中国語サイト「共同網」をやっておられる古畑康雄さんの『「網民」の反乱』を読んだ。
古畑さんとは仕事も関心領域も共通点があるので、活動にいつも注目させていただいていたが、
本書はその長年の中国ネット世界ウォッチの集大成とも言える作品である。
とにかく、一つひとつのネットで生みだされた新語に対して、単なる意味だけではなく、背景や読み解きまできちんと調べてあるので説明に厚みがある。
例えば「五毛党」。ネットで当局に有利に世論を誘導するため、微博やブロクに一般人を装って書き込む人々のことだが、一本あたりの書き込みに五毛(0・五元)もらえることからその名前がついた。
私が編集長をしている「朝日新聞中文網」でも、この五毛とみられる人々の攻撃に相当悩まされているが、その生い立ちから、各地の公的機関で大々的に公募してること、五毛の仕事をやっている人間の告白など、ああ、こういうことだったのかと納得させられた。
また、「草泥馬」などいろいろな爆笑画像をふんだんに収集しているところにも、
古畑さんの「宅」ぶりがうかがえて楽しい。
中国のネットに関する本はここ1、2年たくさん出ているが、そのなかでも出色の出来ではないだろうか。