2013/02/04

台湾

$私は書きたい

 しばらく台湾映画について書いていなかったけど、そろそろ再開したい。
そういえば、セディック・バレが日本で上映されることになって、配給会社から試写会への誘いが来た。もう2回見ているので試写会は行かないが、日本でどのように受け止められるか興味がある。セディック・バレについては、この欄でもう書いているので改めては書かないが、基本的に台湾の少数民族が日本人と凄惨に殺し合うシチュエーションは、「台湾イコール日本をほめてくれる」という図式に慣れた日本人にとって、食べ慣れない「料理」のように感じるかも知れない。その意味、この映画に対して、日本の台湾サポーターがどのように反応するか、大変に興味がある。

 ところで今回紹介するのは「白天的星星」。台湾の書店でDVDを買った。2012年に公開された映画で、基本的に台湾の山地のお話。こういう話は、私のツボが強く刺激される。なんだか切なくなって、映画の最初を見ているときにもう涙が出そうになった。

 主人公は、人口おそらく数百人という山のなかで、雑貨店を経営する女性の話。子供たちに寛容でいつも茶葉卵をあげているので、「阿免姨」と呼ばれる。
 演じるのは性格俳優でいつもいい役を演じている女優・林秀美。その阿免姨には悲しい過去があった。わかいときに子供を産んだが相手に逃げられ、子供を育てることを放棄して施設に引き取らせた子供が米国に渡っていたからだ。そのことを決して誰にも明かすことなく、山で暮らしていた。

 ところが、米国人の若者が山を訪れ、廃屋となった教会を再建し、そこで英語教室を開いた。阿免姨はアルファベットから英語を必死に学んだ。将来、米国に行って娘に会うためだ。
 最も感動させられたシーンは、「I have sin」(私は罪を犯しました)とつたない英語で繰り返す阿免姨の孤独な懺悔の姿だった。

 最後はなかなかのハッピーエンドに終わるのだが、台湾の人々の善良さ、特に山地で暮らす人々の明るさと優しさ、そして寂しさが全編に漂い、久々に自分のなかの大ヒットだった。なかなか日本で見るチャンスはないかも知れないが、絶対にどうにかして見てほしい作品である。

© 2024 Nojima Tsuyoshi