2013/03/19

中国

中国の人民解放軍の少将で、強硬派の代表格として日本のメディアでもしばしば発言が引用される中国軍事科学学会の副秘書長、羅援が、中国版ツイッター「微博(weibo)」に2月末にアカウントを開いた。かなり頻繁につぶやき、内容も面白いので、あっという間に30万人のフォロワーを集めている。

羅援がどこまで中国の党・軍の主流の意見を代表して発言しているのかについては、常にいろいろな見方がある。個人的には羅援は本流ではないが、解放軍の中で一つの考え方を外部に伝える拡声機のような役割を付与されているのだと思う。今回も解放軍の幹部としては恐らく前例がない微博開設が、正式に組織の許可を経たものだと本人も語っている。

羅援の最初のつぶやきは、いささか肩に力が入っていた。

「許可を得て、微博を開くことになりました。ここは非常に重要な世論陣地です。声をあげなければ他人に声をあげられ、時には誹謗攻撃や汚い罵りもある。我々はもう沈黙しない。沈黙の中で死ぬのではなく、沈黙の中で爆発するのだ。親愛なる祖国、党、軍隊、人民のために戦わなくてはならない!」

その後も連日、尖閣諸島問題や中国軍艦レーダー照射事件を含め、活発につぶやきや、あるいは「長微博」と呼ばれる微博に添付のテキストをつける形式でつぶやきを発表しており、確かに格好の発信の「陣地」を作れたように見える。

例えば、レーダー照射事件については、巧みな論点のすり替えに思えるが、こんな風に語っている。

「日本政府が大騒ぎしている火器管制レーダー照射は事実の捏造だ。日中両艦の距離が3キロと言っているが、3キロとは一体何か。可視距離じゃないか。軍事常識がある者ならこの距離はミサイル発射の死角であり、ミサイルの推進器は1~2キロで脱落し、その時点では自動追尾システムも起動しておらず、そんな距離でレーダーを当てる意味はない」

現在開催中の全人代で中国の国防費が発表されて、10%を超える増加率だけでなく、透明性の低さが海外から批判を浴びていることを意識して、こんな文章を載せている。

「私は、軍事費の透明化には6つの原則があると考える。1:国家利益を第一に考え、国家利益を損なわない 2:相互信頼を基礎にし、相互信頼がなければ透明化しても信じる人はいない 3:絶対的な透明はない。中国には無理で、米国にも無理だ 4:透明化に世界共通の標準はない 5:透明化は自主性の原則に基づく 6:透明化は他国との比較ではなく、自国の過去と比較すべきで、中国がすぐに欧米の200年の透明化に追い付くことは不可能である」

このあたりの主張は、中国人らしいロジックで中国人らしい主張をしていると思える。国防費の透明化について、解放軍における思考方法を探ることには役立つ。軍人の発言はこれまでは解放軍報など特定のメディアで編集を経た形でしか読むことができなかったが、羅援の「格」がどこまで高いかは別にして、中国軍人の生の声を聞くことができるのだから、微博の役割は羅援が言うように決して小さくはない。私もついつい数日おきに羅援の微博をのぞく習慣がついてしまった。

*国際情報サイト「フォーサイト」に執筆したものを転載しました。

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