2013/05/04

台湾映画

$私は書きたい

台湾映画には、意外にありそうで、ないジャンルがある。
それは「青春熱血アイドル映画」であろう。
台湾映画の最近の傾向としては、
1、とにかく金をかける歴史・アクション大作(セデック・バレやブラック&ホワイト)
2、身近で普通っぽい男女のこぢんまりとした恋愛物語(聴説とか一頁台北とか)
3、台湾風情たっぷりのヤクザな若者たちのドタバタドラマ(鶏排英雄など)
という三つに大体分かれると思っていたのだが、
去年台湾で上映された「楽之路」については、そのどれにもあてはまらず、
「青春熱血アイドル映画」の王道を行くものだと言うことができそうだ。
台湾では観ていなかったので6月1日から渋谷のユーロスペースで公開されるということもあり、DVDを観てみることにした。

ストーリーは、5人の若者がバンドを組んで売り出し、苦労の末に成り上がり、そして挫折して、再出発する、という、いさぎよいぐらいシンプルなもの。
去年、台湾での興行成績は理想的なものではなかったというが、
そのへんの理由も上記のジャンルに当てはまらず、
台湾の人々には「どこか違う」と思われたからかも知れない。

ただ、私にとっては、多少マニア的な視点も入るかも知れないが、
楽しめるポイントが満載で最後まで飽きない映画だった。
サモ・ハンこと洪金宝という超大スターが、ハワイアンのような出で立ちで、
普通のおじさんとしてしっかりいい訳で出ていたりしているだけで、
「おお!」と思ってしまった。
調べてみると、助演役の洪天祥(ジミー・ハン)は、彼の息子とのこと。
この親子、一ミリも似ていないところに驚かされる。
洪天祥といえば、あのドラマ「ブラック&ホワイト」でラスボスを演じていた人で、
ほとんと喋らない悪鬼のような怖い人だったのだが、
この映画では、気の弱そうないい人のギタリストを演じていた。
彼は演技やアクションだけでなく、「TENSION」という台湾の人気バンドのボーカルもやっているというから、とにかくマルチな人なのだろう。

主役の呉建豪(ヴァネス・ウー)は相変わらず演技はそれほどうまくないが、
パワフルで我がままな奴として一人で全体をかき回して、
最後はやっぱり良いやつになってまとめるという役回りは、
この人のキャラクターにぴったり合っているはまり役であった。

最後に付け加えるとすれば、全体的に音楽がものすごくいいです。
特に最後のところで洪天祥が歌った一曲が心に残った。

© 2021 Nojima Tsuyoshi