$私は書きたい

先日、台北の故宮に行ったときに写した蔣介石の銅像。
遠くに故宮を見下ろしているのだが、ちょっと距離が遠くて寂しそうだ。

もともと故宮の蔣介石の銅像は、正面階段の一番目立つところに置かれていた。
しかし、民進党政権が誕生した2000年以降、改修を理由に倉庫に入れられ、
その後は、文献ビルと呼ばれる、故宮の敷地の外れにあるところに安置されている。

対照的なのは孫文像だ。孫文像も民進党政権のときにいったんは撤去されたが、
2008年の国民党政権誕生で再び、博物館ビルの内部のフロアに置かれた。
いまでは観光客が記念撮影を行うスポットに使われている。

故宮については、孫文、蔣介石とも関わりが深い。
清朝を倒した中華民国の中には、宮廷にあった文物を売り払って国庫に入れてしまおうという政治家もいたが、孫文が当時中国では一個もなかった博物館の建設を主張し、故宮がうまれた。
蔣介石は、故宮をほとんど丸ごと台湾撤退と同時に台湾に持ってきた。
現在の台北故宮は1965年に蔣介石の指示のもとで建設されたものだ。

その意味では、台北故宮との関わりは孫文より蔣介石のほうが深いのだが、
孫文については台湾でもその歴史的功績に異を唱える人は少ないが、
蔣介石になると、いまでも賛否双方の論争を起こしやすい。
昔のように故宮正面に戻すことの政治的なリスクの判断から、
現状のようにちょっと離れたところで、少し寂しげに故宮を見つめているのである。

© 2021 Nojima Tsuyoshi