2014/05/11

台湾映画

 日本の小説「一分間だけ」(原田マハ)を映画化したもので、プロデューサーは日本人、監督は台湾人、俳優は台湾人と日本人の混在する、かなりのレベルで「日台合作」を打ち出した映画である。5月末より、日本でも上映される。映画の公式HPはこちら。一足早く試写会で見ることができた。

 主役であるワンチェンは女性の編集者。ワンチェンと同居する男性は、引っ込み思案で主夫業が似合うハオジエ。ワンチェンは取材先でたまたま出会った子犬のリラを飼うことになった。ワンチェンは、採用された雑誌の編集部で、突然、編集長代理に任命され、猛烈な忙しさとなる。そのなかでハオジエとの関係に変化が生じ、二人に亀裂が生まれ、そして、リラにも病気が見つかり・・・。

 ストーリーは単純素朴。裏も表もない、人間とペットが結んだ愛情と友情の物語だ。本来ならば退屈を感じてもおかしくないような設定なのに、最後まで二時間弱のフィルムに引き込まれるように観てしまった。最大の理由は、「二人と一匹」の主役たちの演技力にある。

 ワンチェンを演じたのは、台湾でトップ3に入る若手の人気女優であるチャン・チュンニン。彼女はこの5年で出演する映画やドラマをほとんど観てきた。その私から言わせれば、この役ほど、彼女にぴったりの役柄はなかったかも知れない。

 その彼女を支えたのが、ピーター・ホーである。演技派の若手俳優である彼は、米国育ちの香港人だが、台湾、香港、中国と中華圏で数多くの映画、ドラマに出演し、日本でも「上海タイフーン」に出演して知名度が上がった。

 ハオジエの優しさ、控えめさ、前向きさが、言葉や表情からじんわりと伝わってくる。最初のころはあまり役に立たない男性のように思えた彼が、最後のシーンではむしろワンチェンを導くようになっていく姿は、人間の成長という面白さを感じさせてくれた。

 しかし、何と言っても本作で最大の収穫であり、功労者であり、主役中の主役だったのは、リラを演じた?ゴールデンレトリバーだろう。このリラ役の犬君は、人間を超える演技を、大げさでなく、見せている。監督の要求が完璧に分かっているのだろうか。あまりにも賢すぎて怖いとさえ思えた。どんな犬なのか。いままで演技経験があるのか。知りたくなった。

© 2021 Nojima Tsuyoshi