2014/10/28

台湾映画

予告編

台湾映画「活路」

 決してデキのいい映画ではない。最大の問題は謎解きの映画のはずなのに、だいたい映画の30分ほど見たところで、その謎がおおよそ分かってしまうところにある。脚本の問題ではあるのだがもっと工夫があっていいと思う。それでも、映画を最後まで飽きずに見続けさせるパワーを作品が持っているのは、主役の30代後半、負け犬系の女探偵に起用された楊謹華(シェリル・ヤン)という女優の力に負うところが大きい。
 楊謹華はドラマの女王と言ってもいい女優だ。「敗犬女王(負け犬女王)」というドラマで大人気を博した。2005年ぐらいから、出ているドラマのほとんどが主役になっている。日本でいえいば、米倉涼子のような存在だろうか。CMにもたくさん出ている。しかし、パッとした映画にはほとんど出ていない。理由はよく分かる。演技がちょっと大げさ気味で、ドラマには向いているが、映画になるど、全体の雰囲気をちょっと変えてしまうタイプなので監督に敬遠されるのである。
 しかし、本作では、その楊謹華の持ち味がぴったりとはまっている。最初にどかっと机の上に足を投げ出すところ。モデル出身だけあって美脚を売りにしていることを思い出した。すれた女探偵がいかにもぴったり来ている。刑事の弱みを握って情報を引き出すところも板についている。
 一方、楊謹華とコンビを組んだ若手のイケメン俳優の劉以豪なのだが、こちらは可もなく不可もなく、という感じだった。劉以豪は韓国の「都教授」を思わせるかわいいタイプで、大金持ちの御曹司だという気の弱い若者にはぴったりだったが、いかんせん演技力が零に近い。しかし、ほとんど楊謹華の独り舞台であるので、その辺は大目に見てあげたいところである。
 良い演技を見せたのは、「瑤瑤」の愛称で親しまれている郭書瑤だった。童顔巨乳のタレントとして5年ほど前から頭角と表し、役割的には山瀬まみのような立ち位置だったのだが、次第の演技力が認められるようになり、2013年には「志気」という映画で金馬奨学の最優秀新人賞までさらってしまった。個人的にも、父親を早くになくして、お茶シェイクの店でアルバイトをしながら弟妹たちを学校に行く学費を稼いでいたところに芸能界でスカウトされたという経緯が、ありがちではあるが泣かせるので、好きなタレントの一人であったし、一時期、台湾社会に広がった「殺很大」という流行語の生みの親ということもあって、気になるタレントの一人であった。
 本作での役割は、殺人事件の最重要容疑者である男の愛人を演じていたのだが、大人しさのなかに「魔」を秘めた女性の怖さが、虫一匹殺さないような童顔から伝わってきた。将来、瑤瑤は良い女優になるに違いない。

© 2021 Nojima Tsuyoshi