2015/10/11

台湾映画

先月から台湾で上映中の映画「太陽的孩子」を観た。
台湾映画で、今年いちばんの作品であると言い切りたい。

原住民の花蓮のアミ族が、ホテル開発や部落の衰退という現実に直面しながら、
祖先から受け継いだ土地で、人々が稲作に取り組むというストーリーで、
主役のPANAYは台北のテレビで記者をしていたが、
娘や息子を残してきた花蓮の故郷に戻ることを決意し、
ガンにかかった父が切望している先祖伝来の土地での稲作の復活を手伝う。
その土地では、ホテル開発の波が押し寄せ、集落や家族も揺れていくが・・・。

映画館では、1時間半の間、笑いと涙が交互に催されてしまい、
ドキドキもしたり、落胆もしたり、最後の結末も納得のいくもので、
見終わったあと、本当に疲れきって、ぐったりしてしまった。

特に脚本がすばらしい。言葉をものすごく大事につくってある。
俳優たちも、一人一人が生き生きと演技を楽しんでいる。歌も、どの曲も心に響く。

今年の台湾のアカデミー賞である金馬奨では、

最優秀新人賞=阿洛.卡力亭.巴奇辣
最優秀改編脚本賞-鄭有傑、勒嘎舒米
最優秀映画音楽賞-「不要放棄」 Suming 舒米恩 

の3部門にノミネートされている。最優秀作品に入ってもいいぐらいだ。
もちろん低予算で役者も半分は素人であり、あらを探せばきりがないが、
一つの作品としてまとまっているかどうかという映画としての完成度は抜群である。
予想だが、最優秀新人賞と最優秀音楽賞は確実ではないか。
それぐらい、主演の阿洛.卡力亭.巴奇辣は、歌手でもあるのだが、映画は初めであるというのに、喜怒哀楽をしっかりと伝えきるその演技の表現力には驚嘆させられた。
とりわけ、農地の水源を確保するために財団に協力を依頼する主人公の5分間のスピーチの魅力は圧倒的だった。

いまは原住民文化を守っていこうというコンセンサスが台湾にはあるが、
その前の漢人の圧迫、日本の統治方針、国民党の政策などいろいろな経緯があって、
それが原住民の生活を同化に向かわせたのか、あるいは非同化に働いたのか、
ここはかなり正確に論じることが私の能力では難しいところなのだろうけど、
総じて台湾という土地のなかで原住民の生活は消失の方向に向かって歩んできたことは確か。
それでも、いま1%以下の人口ではあるけれど、原住民の独自性は、力強く残されている。
それが台湾社会に豊かさをもたらしていることを、この映画で強く実感させられる。
日本には、あったけれど、なくなったもので、大事にしてほしい。

いままだ台湾では上映中のようだが、あと1、2週間で終わってしまうだろう。
この予告編と主題歌のMVを観てもらうだけで、日本に来てほしくなるはずだ。

© 2021 Nojima Tsuyoshi