2016/02/12

台湾映画

昨年台湾で上映されて、ちょっと気になっていたけど劇場で見逃していた台湾映画「落跑吧愛情」(英語名:All you need is Love)をチャイナエアーの機内で見ることができた。

映画公式宣伝映像MV
澎湖灣のオリジナルMV

「落跑吧愛情」ってどう訳せばいいだろうか・・・
 映画のキー音楽になっている「澎湖湾」は台湾で戦後ヒットしたナツメロ。実際、澎湖に澎湖湾という名前の場所は実在せず、夢のような場所みたいなイメージになっている。
 映画自体がなんとなくB級っぽいし、あまりヒットしなかったようなので、期待せずに見てみたが、これが意外に良かったので、思わぬ収穫だった。
主演は、中華圏のトップ女優の舒淇(スーチー)と人気男優の任賢齊。任賢齊はあまりにも舒淇のことを好きなので、自分で企画を立てて、監督も主演もやって、主題歌まで歌ってしまったという映画。こうした流れからして、映画そのものは面白くないと想像できたのだが、
さすが舒淇はいるだけで存在感のあるかわいさを発散しており、笑いと切なさを十分に発揮。
性格俳優的な任賢齊とも組み合わせもマッチしていて、十分に感情移入できる。
舞台が、台湾の離島、澎湖であることも良かった。真っ青な海、砂浜、美味しい海鮮。これまであまり澎湖を舞台にした映画はなかった分、新鮮に見ることができた。

この映画で面白かったのは、舒淇演じる主役が中国人の山西からきたお嬢様で、文才豊かな小説家。一族はナスダックに上場を控えた会社を経営しており、亡くなった母親の思い出を訪ねるために澎湖にやってきた。そのお相手が、任賢齊演じる澎湖の土臭い民宿の経営者であるということだ。ここに、中国人がお金持ちで派手な人々というキャラクター設定が、台湾人のイメージにはあるということが示されている。
昔の台湾社会では、台湾人=お金持ち、中国人=貧乏人、という先入観が当然あり、映画でもドラマでも大陸に出かけていった台湾人が騙されたり、せびられたり、いろいろひどい目に遭うという話が多かったように思うが、最近台湾映画にでは、中国人=高飛車のお金持ち、台湾人=貧乏ではないけど、田舎の人っぽい、というキャラクターになっている。
舒淇が、任賢齊に向かって「鄉巴佬(田舎者?)」と怒っているところなど印象に残った。
2013年の「對面的女孩殺過來」も、都会派の中国人の女の子と、ちょっといけてない台湾人の男の子というストーリーだった。タイトルは思い出せないが、去年みた猪葛亮の映画でも、そういう話があった。
この映画で繰り返されたフレーズは「用銭解決」というセリフ。これを、中国人に向かって、台湾人が抗議するシーンが何度も出てくる。いまの中国人は台湾人にそう見ているのだ。
中国からやってきた舒淇の叔父が「有錢不一定幸福,沒錢一定不幸福」とタンカを切っているところなど、面白かった。
これは、台湾社会における中国人イメージの変遷という意味で一考に値するテーマだと、本作をみていて、実感した。小論文ぐらい書いてもいいかもしれない。

© 2021 Nojima Tsuyoshi