2018/05/02

自転車

昨日から韓国の洛東江を眺めながら自転車で走っている。


GIANTのチーム「追風騎士団」に参加しているためで、台湾、日本、香港からの混成チームが、5日間かけて、釜山からソウルの550キロを走破するものだ。リーダーはGIANTの元CEOのトニー・ローさん。いつものように奥様のミミさんもご一緒に参加している。


私は仕事の関係で私は初日の釜山ー釜谷までは参加できず、釜谷から亀尾までの二日目から合流した。二日目は追風騎士団の韓国縦断ライドで最長の128キロだったのだが、基本、そこまでは体力を消耗することがなかった。ロングライドの場合、100キロを超えると、たいてい「疲れた」という状況になるのだが、一体どうしたことだろうか。
その最大の理由は、韓国の自転車道の整備のおかげである。
私はこの2日目のコースで基本的に韓国の大河である洛東江をひたすら北上している。基本、ほとんどすべてのコースを川沿いの自転車道を走っている。自転車道の利点はいくつかあって、基本は安全かつ快適で、信号や道路工事で止まることがなく、そして、川沿いに整備されているので、道が平坦なので、体に負担が少なく走れるところにある。
私はマゾっ気があるのか苦しいヒルクライムが大好きな人間なので、正直ちょっと寂しいところはあるのだが、25−30キロの快適速度で1時間でも2時間でも走り続けることができる快適さは、やっぱりサイクリストにとっては魅力だ。
この自転車道の整備は、最近、有罪判決が出てしまった李明博政権時代に提唱されたグリーン成長戦略よるものだ。韓国の4大河川である洛東江・漢江・錦江・栄山江に沿って自転車専用道路を整備し、連結させていくという壮大な事業で、その成果をいま私は楽しませてもらっているということになる。

 
この河川整備については、けっこう韓国内ではいろいろ不正や負債の問題もあって評判はいいとはいえないみたいだけれど、サイクリストとしてはよかったと言えるだろうし、国際的な韓国観光の新しいセールスポイントになりえる力を持っているように思える。
この壮大な自転車道路の正式名称は「韓国国土縦走自転車道路」というらしい。釜山の洛東江河口から川に沿って「洛東江自転車道」を北上、途中から「漢江.自転車道」に入って首都ソウルに入っていく。総延長702kmに及ぶとされ、事業主体は「K WATER」とあちこちに看板が出ている韓国水資源公団が主体となっている。20キロぐらいごとに巨大な休憩所があって、トイレや日陰での休息がとれる。休憩所だけではなく、あちこちに移動式のトイレがあって、清潔で匂いもなく、冷房までついていてびっくりさせられた。日本の公園のトイレと雲底の差である。

 
韓国は、もともとみんな自転車にスポーツで乗ることがない国と言われていたが、これだけ整備されると、自転車人口の増加にもけっこう貢献しているようだ。統計によれば、韓国全体で自転車道の総延長は2万キロを超えて、2009年に比べて倍になったという。そのうち、自転車専用道路は3000キロもあるという。
そのおかげかもしれないが、自転車道を走っていて、平日なのにもかかわらず、多くの韓国人サイクリストに出くわした。彼らは、我々が乗っているロードバイクではなく、なぜかマウンテンバイクが圧倒的に多い。ロードバイクでも十分楽しめる整備がなされているように思えるのだが、韓国人のマウンテンバイク好きの理由はわからない。
いずれせによ、自転車文化の育成と普及には、自転車道の整備がぜったいに不可欠であり、そのためには行政の積極参加が必要であることを改めて実感する。それは台湾における環島一号線の整備よって環島自転車文化が一気に広がったことでもわかる。日本でも、最近では、しまなみ海道や琵琶湖一周「ビワイチ」など、自転車道の整備が地域ごとに注目される動きも出ているが、もっともっとスピードアップしてもらいたい。

© 2024 Nojima Tsuyoshi