東日本大震災で台湾が日本へ170億円という、海外からは最大の義援金を集めたことが、日本人の心理にどのような影響を与えたのかは興味あるテーマだと思っていました。

台湾の対日窓口である台北駐日経済文化代表処が民間調査会社「ニールセン」に委託して成人男女千人を対象に調査した結果は、一つの答えを示してくれるものでした。

「台湾を身近に感じますか」という質問には、「どちらかといえば身近に感じる」「とても身近に感じる」と答えた人は合計で66.9%に達し、2009年に同様の調査を行った時と比べて、約11ポイント上昇しました。

「現在の日本と台湾との関係は良いと思いますか」という問いには、「どちらかといえば良い」「非常に良い」が91.2%で、二年前より15.2ポイントアップしています。

さらに「あなたは台湾を信頼していますか」という問いには、「多少は信頼している」「非常に信頼している」が84.2%あり、2009年に比べて、19.5ポイントも増えた形です。

完全に中立的な立場による調査とは言えない部分はあり、多少割り引くことは必要だと思います。それでも、今回の台湾の義援が、日本の対台湾世論に与えた影響はかなりあったということが分かります。

いままでいくらいわゆる「親台派」と呼ばれる政治家、評論家が「日本と台湾との絆」「台湾の重要性」をアピールしても、台湾という近くて遠い存在に関心を抱くことができなった日本人のグループに、今回の大震災を通じて、台湾への強い関心が芽生えたことが想像できます。「なぜ、そこまで日本に良くしてくれるのか」「日本は同じことができだろうか」といったクエスチョンが、多くの人の心の中に浮かんだはずです。

これまで、台湾と日本との関係は「台湾の一方的な片思い」と言われ、台湾の方々には「自分たちがいくら日本が好きでも、日本からは重視されない」との不公平感を抱かれてしまう傾向がありましたが、今回のことがきっかけて、そうした状況が多少なりとも解消していけばいいなと思います。

*筆者注(この文章は、新潮社の有料会員制国際情報ウエブサイト「フォーサイト」http://www.fsight.jp/で、私が担当する「中国の部屋」で昨日発表した私の文章です。フォーサイト編集部の了解のもと、「中国の部屋」に掲載されたものが随時、このブログに転載していきます)

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