2011/06/20

その他

$私は書きたい

昨日、映画「蟻の兵隊」の主人公で元日本兵の奥村和一さんの追悼イベントに出かけてきました。
「蟻の兵隊」は、ドキュメンタリー監督の池谷薫さんが2006年に撮った作品です。テーマは中国・山西省に終戦後も残って共産党軍の戦い続けた日本兵の物語で、彼らは軍幹部の命令を受けて戦って中国で戦犯・捕虜として長期拘留されたにもかかわらず、軍幹部は態度をひるがえして関与を否定し、兵士たちには戦後分の恩給も支給されていません。
奥村さんは、軍の関与を証明するために裁判や運動で戦い続け、「蟻の兵隊」は奥村さんの強い意志、願い、中国への罪悪感、この問題に隠された日本の戦後清算の問題をあぶりだした優れた作品になっています。

私はいま、戦後台湾に渡って蒋介石を助けた日本人将校団「白団」のテーマを追いかけていて、いずれ本として発表しようと思っています。そのなかで、白団と同じ問題をはらんでいる「蟻の兵隊」に関心を持ち、池谷監督に会ってお話を聞いてきました。

病床にあった奥村さんとも会うことを予定していたのですが、実現する前に、ガンによって奥村さんは逝ってしまいました。しかし、奥村さんは80歳でありながら池谷監督と中国ロケに3週間も同行するなど強靱な意志の力で運動を戦い抜き、裁判では敗訴して軍関与の壁を突破することはできませんでしたが、その人生は十分にたたえられていいものだと思います。

奥村さんが亡くなる三日前の5月22日、池谷監督は私が白団について「G2」に発表した「ラスト・バタリオン」のコピーを奥村さんに渡してくれ、「いまでも真相を解き明かそうという人たちがいるんですよ」と語りかけたところ、奥村さんは嬉しそうに「うんうん」とうなづいてくれたそうです。会うことはできませんでしたが、最後の時期につながることができ、嬉しく思いました。

白団の取材もそうですが、関係者の高齢化が進み、取材対象者が他界されることが続いています。貴重な証言を残すためにも、取材のスピードを上げてなければと改めて心に誓いいました。

© 2021 Nojima Tsuyoshi