2011/07/20

中国

先日、新宿で「リセンス学級会」という、知人がやっている学級会方式の講演会?に参加して、
ゲストの元外務省職員の評論家、佐藤優の話を聞いてきました。
あまり佐藤優の中国論を読んだりしたことがなかったので、
その一部をこのブログで概要を紹介させていただきます。

日本は中国はきらいじゃないけど、中国は日本が嫌いです。
これは民族の考え方と関係があります。
中国ではいまようやく近代的な意味での民族の共同体が生まれてきている。
そのなかで敵のイメージとして日本に固めてきているので、これはどうしようもない。
しかし、我々はそれでも中国人とビジネスを通じて仲良くしなければならない。
例えば、アイルランド人のなかに英国人を好きな人はいないが、
経済的にはアイルランドは英国に依存しており、うまく付き合っている。
ロシアとフィンランドとの関係からもその辺が学べるかも知れない。
ロシアにとっては敵のイメージは中国で、例えばロシアには「お前は中国人100人分ぐらいずるい」という悪口があるぐらいだ。

中国は訓練用の空母を就航させようとしているが、
中国が空母を持ったときは米軍の海兵隊が沖縄から出ていくかも知れない。
それぐらい空母という軍事力は大きな意味を持つ。
東風15という短距離ミサイルで中国は沖縄の米軍基地を狙っているが、
それと一緒に空母が攻めてきたら、米軍にとってはとてもやっかいだ。
そうなるなら、いっそグアムに移してしまおうということになりかねない。
中国の空母の就航はアジア太平洋のバランスが大きく変わってしまう。

この空母は、中国は盗んできたに等しい方法で入手した。
ウクライナという国があって、空母を運用するのはとても難しいにもかかわらず、
ソ連から独立するときに自分たちでも空母を欲しがった。
しかし、結局、もらってはみたが、運用や整備ができなくなり、
空母をもてあますようになったところにマカオの商人がやってきて、
「洋上カジノにするから、売ってくれ」と頼んできた。
空母を腐らして黒海に沈ませてしまうわけにいかないウクライナは、
くず鉄として商人に空母を売った。空母はオンボロのタグボートで東シナ海まで運ばれると、
マカオを素通りして、大連の軍港に入ってしまった。
その途端にマカオの商人の会社はなくなってしまった。
それを中国は細部にわたって研究して、空母の建造や運用の確立に活用した。」

ざっとこんな話でした。
なかなか面白かったです。
特に中国人にとって日本人が敵のイメージだという話はうなづけます。
日本が好きな人でも、中国で大声をあげて
「私は日本が大好きだ」と言うのって勇気がいるという話をよく聞きます。
それは、大衆の認知において超多数派が日本を否定的に見ているなかで、
肯定的に論じることは大変だということで、よく分かります。
これは個人レベルでどうにかできる話じゃなく、
「米国は進んでいて、開放的な国だ」とか、「インドはカレーの国だ」とか、
「朝日新聞は左よりだ」とか、
いわゆる「常識」を変えることが難しいのと同じようなものなのでしょうか(笑)。

© 2024 Nojima Tsuyoshi