2012/01/21

台湾

$私は書きたい

台湾映画「翻滾吧!阿信」(日本タイトル「転べ、信ちゃん」)。ずっと見たかったのですが、やっとDVDを買って見ることができました。2011年の台湾映画のヒット作。主演の彭于晏(エディ・ポン)はこの作品で、台湾最高の映画賞「金馬奨」で、主演男優賞にノミネートされました。彭于晏はあまりそれまで演技が評価されてきた役者というよりは、アイドル俳優のような位置づけだったので、一気に評価が高まって話題になりました。

映画を見終わった私の感想も「主演男優賞は獲らなくてよかったな」と思いましたが、それは当時の候補者間の相対的な評価でしょうし、演技自体は称賛に値するものだったと思います。彼は、2010年の映画「聴説」(この映画は本当に素晴らしくて、まだ日本に来ていないのかな?今度別にまた紹介します)の主演でも頑張っていました。また、柯宇綸(クー・ユールン)も同じ金馬奨で助演男優賞を取っています。

監督は、若手の林育賢(リン・ユーシェン)。実の兄が体操選手の林育信(リン・ユーシン)で、以前は兄のドキュメンタリーも撮ったことがあり、体操ネタはお手の物の監督です。
この映画も、兄の青春時代を描いたもので、自分も弟として登場したりしています。脚本は33回書き直したそうです。本当に、自分の人生を投影した作品だったのでしょうね。

台湾東部の宜蘭という地方で、貧乏な家庭に育って体操を無理矢理母親に諦めさせられた阿信はぐれてしまってケンカばかりの日々を送るのですが、友人の死をきっかけに、体操を再び始めて、大会で優勝を目指して・・・というストーリーです。

こうして書くとけっこうありきたりの話なんですが、実際に最初からもう結果は見えているような筋書きです。しかし、映画っていうのは、結果が分かっていても楽しんで見られるのですね。それはきっと林監督にとって、一つ一つの情景や挿話が、実際の体験に基づくものだから、リアリティがあるんでしょうね。台湾の田舎のなんとなくゆるい世界がけっこう伝わってきました。

途中、いくつか「あれ、話がちょっとヘン」という部分もなかったわけではありませんが、映画のラストシーンでは、分かっているけど・・と思いながら、号泣してしまいました。

© 2024 Nojima Tsuyoshi