2012/01/29
今回の台湾総統選挙で面白かったのが、中国の民衆の反応でした。
中国では、今回の台湾選挙はフェニックステレビなどでリアルタイムで報道され、中国政府もあまり制限はつけませんでした。台湾の選挙がこれほど自由に、客観的に中国で報じられたのは歴史的にも初めてのことで、中国の民衆は熱狂的と言えるほどに台湾選挙へのリアクションを示しました。
そのリアクションが表現されたのが、微博(中国版ツイッター)です。出色だったのが、「在中国看台湾選挙、就像太監AV)」です。訳しますと、「中国で選挙を見ることは、男性機能を失った宦官である太監がアダルトビデオを見ているようなものだ」ということで、大変うまいことを言うなと思いました。
この言葉は、現体制への強烈な皮肉で、多くの微博で引用、転送されましたね。
中国人の台湾選挙への見方は非常に肯定的で、ほかにいくつか言葉を拾ってみますと、
「台湾選挙はいままで見たなかで最も面白いドラマだった。1800万人が主演で、選択が正しくても間違っていても、全力で演じている。こちらは13億人がいるが、長い間、衣装を着ているだけで、演じたことはない」
「台湾では理性的、平和的に民衆が理性的、平和的な総統を選んだ」
「民主とは混乱を経ながら最良の回答を求めて統治を行うことであり、いわゆる穏健派に対する最良の反論である」。
この穏健派とは、安定のために選挙は必要がないという共産党のことですね。
「台湾は、立法院では殴り合いをやり、激しい政党対立も経て、陳水扁の銃撃事件もあったが、今日、理性的で平和な選挙を行った。20年間の苦しい道のりは誇りに感じるべきだ」
もともと中国の台湾政治への報道はいわゆる「悪魔化」の情報操作が著しく、悪い面だけを強調して情報が官営メディアによって流されてきました。そのため、台湾の選挙は中国人にとって「民主主義の悪しき実例」として理解されてきました。
今回の選挙について、中国では「過去の混乱を乗り越えて」という位置づけになっていますが、それほど過去の選挙も混乱していたということではなく、初めて本当の台湾選挙の様子が中国に伝えられただけに過ぎません。
それでも、中国でちゃんと台湾選挙が伝えられたことは大きな意味があったと思います。