$私は書きたい

紫いろの花を咲かせる野草に「花だいこん」というものがあること、知ってますか。
諸葛孔明が育てたという伝説もあって諸葛花とも呼ばれていました。
もともと中国大陸にあって日本にはなかったのですが、日中戦争とその後の時代、日本に持ち込まれて全国に広がったものです。
その花だいこんをめぐり、新聞の投書欄「声」に載った一枚の投書から、花だいこんを日本にもたらせた人々の波乱に満ちた人生に迫ったノンフィクションを、知人のジャーナリストの細川呉港さんが今回、出版しました。
この本について、30日の朝日新聞朝刊で、「声」の編集長がこんなコラムを書いてくれました。

声・編集長から

 46年前の「声」欄の投書がきっかけだったそうです。「わが家の春を楽しませた花大根」という投書でした。400字に満たない一本の投書に、次々と回答や反響が届き、紙上で論議が続きました。薄紫色の花の名前や「どこから来たか」をめぐって、たくさんの読者や植物愛好家、学者、さらには植物に詳しい昭和天皇の意見まで登場して、やり取りがありました。「声」欄をにぎわした論議は、後に「花だいこん談義」と言われるようになったそうです。
 「花だいこん談義」に関連する投書や記事を、切り抜いて保存していた人がいました。細川呉港(ごこう)さん(67)です。編集者の仕事を続けながら、この不思議な花を日本に伝えた人々を訪ね歩きました。中国大陸からの五つのルートと五つの人生。戦争の時代を生きた五人の人生の軌跡が、投書の内容とともに、細川さんによって一冊の本にまとめられました。「紫の花伝書」は税込み2310円。問い合わせは集広舎(092・271・3767)へ。
 (阿部俊幸)

読んでみると本当にわくわくしてくる一級の作品で、特に新聞社で働く一員として、一つの投書がこれほど影響を広げていくんだということを知り、改めて驚かされました。

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