2012/06/06

自転車

自転車の防犯登録にナンバープレートを導入しよう東京都が動いている。
週末のテレビでやっていていろいろ考えさせられた。
これは、放置自転車を減らすため、という目的で、防犯登録制度のなかにいまのシールのようなものではなく、大きく目立つプレートをつけようということらしい。
個人的には、格好悪いプレートなんて導入したら、自転車ファンは猛烈に反発してデモぐらいやるんじゃないかと心配になるが、このプレート化の理由の一つである放置自転車について触れておきたい。

なぜこれほど放置自転車が多いのかというと、自転車への愛着がないからである。つまり所有者がマイ自転車になっていないのである。
なぜ愛着がないからかというと、自転車や安く手に入りすぎるからだ。
そして、放置自転車のおそらく99%は、スポーツサイクルではなく、ママチャリである。
自宅の近くにあるドンキホーテでは、シングルスピードのママチャリは1万円前後で売られている。もっと安いところでは、8千円代というのもある。
これらのママチャリの9割は中国からばんばん輸入されている。年間700万台にもなる。
昔からママチャリがこんなに安かったかというとそうでもなく、ここ10年ぐらいのことで、中国からの輸入が激化したのもここ10年の現象だ。
それは一日バイトしただけで買えるんだから気軽に捨てる気持ちもわかる。
ちょっとした靴やジャケットより安いのだから。

日本でママチャリがこれだけ広がったのも、日本のメーカーが年間に800万台や900万台あるママチャリのマーケットに安住してしまい、日本人をもっと良質で、楽しく、そして値段も高い自転車に乗ってもらおうと努力してこなかったからだと私は考えている。そのことは最近の拙著「銀輪の巨人」でも書いた。逆に言うと、消費者に対して、1万円~2万円のママチャリしか選択肢を与えてこなかったのだ。

1万円のママチャリと15万円のスポーツバイク。それなら普通の人はママチャリしか選択しないだろう。しかし、5万円ぐらいで性能のいいクロスバイクやMTBがあったら?
そうしたら、ママチャリ利用者の少なくとも何割かはママチャリを離れ、中級・高級の自転車を大事に乗り続け、駅に捨てておくなどまずしないのではないだろうか。
これはメーカーだけではなく、官庁、政治家、自転車業界団体など、自転車にかかわるすべての人たちに責任があることだと思うが、こうした点についてもしも議論をしないまま、利用者のマナー改善の観点だけからナンバープレートを導入しようというのなら、自転車のユーザーとしても、また都民としても、心からは賛成できない。

© 2021 Nojima Tsuyoshi