$私は書きたい

山形のさくらんぼが届いた。送っていただいたのは、仙台のご高齢の女性だ。

いま、戦後台湾に派遣された白団のメンバーについて、本を書きたいと思って取材を続けている。
メンバーの方々はみんな亡くなっていて、そのご遺族の方々にお話を聞いているのだが、
会社の休みの日にあちこち回るような形になるので、取材の進みも遅くてけっこうしんどい。
それでも、やっとのことで探し当ててお話をうかがって、つながりができる方々から
手紙などをいただくこともあり、大変、励まされる。
仙台でお会いした元白団兵士の奥様でもう80歳を超えておられたMさん(一応匿名で。本では実名で)から、今週、さくらんぼが届いた。
東京の手みやげを何かお渡ししたと思ったが、「遠くまで来ていただいて、何も持って帰っていただくものがなくって本当に申し訳ありませんね。夏ごろにさくらんぼを送りますね」とおっしゃっておられた。半年ほど前のことなので忘れていたから、本当に驚いた。「お仕事がんばってください」という丁寧なお手紙もいただいた。
こういうことがあると、自分がこの作業をやり抜かないといけないと気持ちが強まる。
取材というのは、他者の協力があってのことだが、普通の人にとって取材を受けるということは、自分たちが考えるよりも大きな非日常的なことで、そういう方々は多かれ少なかれこの出会いに強い印象を残したり、期待を持って下さったりしていることが多い。
こちらは、いい記事を書いて、それを読んでいただくことで、お返しするしかないと思う。

© 2021 Nojima Tsuyoshi