2012/10/01

台湾

蔣介石にからんだ取材を続けているが、
大阪の市民団体から「清明上河図」のことで講演会に呼んでいただいたので、
ちょっと兵庫の有馬温泉まで足を伸ばした。
なぜなら、ここの極楽寺に、蔣介石が書き残した書があるからだ。
台風が近づいていたので、約束の時間を早めてもらってたどりついた極楽寺。
坂道が多い有馬温泉のなかでも最も高い場所に位置して、
古い歴史のある浄土宗のお寺としてこの地にあったという。
蔣介石は、戦前、有馬温泉を訪れたことがあった。
有馬温泉に湯治に来ていた宋美齢の母親に宋美齢との結婚の許しを願い出たところ、
許しを得ることができて、上機嫌で滞在していた「有馬ホテル」の女将に五枚の書を贈ったとされている。

$私は書きたい

数年前に亡くなった住職の奥さんによると、「有馬ホテル」は極楽寺の檀家で、
五枚のうち「平等」の一枚を譲ってもらって、いまも家宝・寺宝として大切に保存しているという。
残りの4枚のうち、「横掃千軍」の1枚は台湾の中正紀年堂に展示されている。
残りの3枚は、「有馬ホテル」の親戚などに渡って行方は分かっていない。
蔣介石と宋美齢の結婚は、中国の歴史を動かした歴史的事件。
そのゆかりの書が日本有数の温泉地にあるというのは、なかなか感慨深いものがある。

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