2013/04/05
「男朋友。女朋友」。たぶん2012年でいちばんいい出来の映画だった。
監督は楊雅喆(ヤン・ヤーチェ)。この監督といえば、思い出すのが2008年「冏男孩」。少年時代の友情をちょっと寂しく描いた作品で、これもいつかこの欄で書きたいと思っていたが、めちゃくちゃ面白いオススメ映画です。
そして主演は、桂綸鎂(クイ・ルンメイ)。いまや台湾ナンバーワン女優に成長した彼女。スクリーンで見れるチャンスがあるだけ見ておきたい女優になっている。
設定が良かった。男2人、女1人の3人が、高校生から大人になるまでに続く複雑で微妙な関係を、苦い切なさを込めて一緒に描き出している。そして、台湾社会が1980年から現在に至るまで、どんな風に台湾人が生きてきたのかを実感できるテキストにもなっている。
桂綸鎂扮する小美、張孝全扮する阿良、鳳小岳扮する阿仁が登場する。阿仁は小美を好きだった。小美は阿良が好きだった。小美は阿良に気持ちを伝えたかったが、男性しか愛せない阿良はいつも逃げていた。そんな小美に対し、阿仁は「主題歌でなくてもいい。B面の1曲目でいいから、ずっとそばにいてくれないか」と告白して、二人は付き合うようになる。
その後、映画は1990年ごろの民主化運動を舞台に変え、そして、1990年代末と時代を映しながら、それぞれ苦しみを負って生きている三人の関係を切なく描き出した。
セリフがものすごくいい。一言ひとことがきちんと見ていて胸に刺さってくる。考えてみれば、私も、この登場人物たちと同じ年代に生きてきた。久しぶりに映画を見ながら、自分のこともじっくり考えさせられた。いいこともよくないことも、仕事も家庭も一回り経験して、「さて残りの人生をどうしようか」と考えている40代の男女にお勧めの映画だと思う。