2013/09/18

台湾映画

$私は書きたい

この映画、台湾で現在ヒット中で、台北・西門町の映画館で観てきたばかり。
90年代に喜劇作品で一世を風靡した陳玉勲監督が16年ぶりに撮ったもので、
ここ数年、台湾で流行している「台湾本土化」のテイストをたっぷり含んだ作品だった。
現在、興行収入ランキングを独走している。実際、ひたすら笑えて、ひたすら面白い。

「海角七号」「艋舺(モンガに死す)」「鶏排英雄(ナイトマーケットヒーロー)」など過去のヒット作品が成功した「台湾」路線を巧みに踏襲しており、
今年の金馬奨(台湾アカデミー賞)の主要候補作品に間違いなくリストアップされるだろう。
今年の東京国際映画祭でも上映されるというので、日本のファンもすぐに見てほしい。

この日本語タイトルは「メインシェフ」と書いてあるが、誤訳とは言えないが、単なるメインシェフをめぐる争いだと考えてしまうと、この映画の本質のテーマは理解できないだろう。
「総舗師」とは、台湾にある特殊な飲食文化「辦卓」のシェフのことだ。
「辦卓」は、台湾の人々が、お祝い事があったときなどに、親戚友人関係者を招いて食事を振る舞うとき、レストランではなく、仮設の半野外の料理場で盛大な宴会を催すことだ。
このシェフは、こうした宴席がある場所に呼ばれた先々で、見事な料理をつくるのである。
普通の料理店とはひと味違った技巧が求められるため、特に台湾社会では尊敬を受ける。

この映画では、過去に台湾で三大名総舗師と呼ばれた「憨人師」「鬼頭師」「蒼蠅師」の三人が登場する。新進女優の夏于喬が演じる主人公の女の子は「蒼蠅師」の娘で、借金を重ねていまは落ちぶれてしまった一家の復活を目指す。その彼女を助けるのが、「鬼頭師」のもとで料理を学んだ旅する料理コンサルタントの楊祐寧こと葉如海で、二人は引かれあいながら、台湾ナンバーワンを決める総舗師大会で対決することになる。

この映画、脇役がものすごくいい。著名映画監督でもある呉念真が「憨人師」を演じて陰ながら主人公を助ける役なのだが、味わいのある表情とセリフはこの人ならでは。
それから、主人公の母親を演じた林秀美が、とにかく光った。金馬奨の助演女優賞ものの演技だった。台湾にどこでもいそうなおせっかいで、うるさく、あかるく、憎めないおばさんキャラが見事にはまっている。彼女はもともとテレビドラマなどで見かけてきたが、本作の陰の主役だった。

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