2014/01/15
ずっと観たかった台湾のドキュメンタリー「看見台灣」。
昨年秋の公開以来、ロングランになっているお陰で、やっと観ることができました。
すでに興行成績で2億台湾ドル(7億円弱)を突破している。
異例の好成績で、映画で汚水の垂れ流しを指摘された企業が処罰されるなど、2013年から2014年にかけての台湾でおそらく最も話題となった社会現象となっている。
ドキュメンタリー、しかも環境問題がテーマであるのに、これだけの人々が観ているのは、
極めて異例なことであり、その社会的影響力はものすごいことになるはずである。
やはりいま人々は環境の善し悪しや生活のクオリティに最も関心があるのだなと再認識させられる。
看見台灣は、台湾という土地を空撮によって撮った映画だ。それだけである。
それだけなのに、どうして人々を感動させるのかと言えば、
一つは、自らを第三者の目で観ることがこれほど意外さに満ちた経験であるか、ということだ。
例えば、その美しさ一つとっても、台湾の山々や広がる田畑を普段のように地面から見ているのと、空から見下ろすのではこんなにも違うのかと驚く。
また、環境破壊についても、汚れた川を見るのに、下からみているとその一部しか見えないのでこんなものかと思ってしまいがちだが、上から見ると、川の色が異様な色彩に変化している様子には、鳥肌が立つような思いをさせられる。
以前から、私は台湾人はドキュメンタリーを撮るのが上手いと思っている。
テーマとの距離の置き方が過剰ではなく、それなりに客観的に、面白い作品をよく作る。
ここ一、二年でも、高齢者によるバイクでの台湾一周をえがいた「不老騎士」や、
8・8水害で傷ついた高雄の山奥の甲仙という地域が子供たちの綱引きを通じて立ち直って行く「抜一条河」など、商業的にも十分に耐えうる作品が発表されている。
台湾ドキュメンタリー特集などの映画企画を、日本でやって欲しいものだ。