2014/06/07

台湾映画

 
「南風(なんぷう」という映画には、いい意味で期待を裏切られた。
 自転車を通じて、日本と台湾の若者たちが友情を育て、絆を確かめあう。そんな映画だと、聞いていたので、正直、あまり期待はしていなかった。いい話かも知れないが、映画としては「理想」を前に出しすぎると作品として成功しないことが多いからだ。

 

 この作品「南風」は日中合作だ。
 これが予告編。7月12日から日本で上映が始まる。
 これが公式フェイスブック
 南風の主役である女優の黒川芽以演じる蘭子は、日本で恋愛に失敗し、雑誌社でも左遷される失意のなかで、自転車に乗って台湾を紹介するという企画のため、現地を訪れる。蘭子はどこか、「海角七号」の友子に似ている。気が強くて、高飛車で、あまり仕事についてハッピーではなく、最初はあまり台湾が好きではない。日本人女性に対する、ある種のステレオタイプか先入観がもしかすると台湾の人たちにはあるかもしれない。
 蘭子が自転車を借りるために訪ねた自転車ショップで、台湾人の少女トントンと出会う。トントンの夢はモデルになることだ。蘭子が女性誌の編集者であることを知って、16歳なのに20歳を過ぎてるとうそをついてまで、蘭子の取材のガイド役を買って出る。蘭子を通事てデビューしたいと思ったのだ。同時に、蘭子の目的地である日月潭で、ちょうどモデルのオーディションが開かれるので、一緒に連れて行ってもらいたいと考えたのだ。
 劇中、二人の男性が登場する。蘭子の自転車が壊れたところで修理をしてくれて、その後、日月潭まで一緒に旅をすることになった台湾人のユウや、世界的なサイクリストでユウの親戚でもあるゴウだ。蘭子は、ユウに惹かれるが、ゴウからもアプローチを受け、揺れるなか、トントンの「失踪」が台湾で大きな騒ぎになり、トントンと引き離されそうになるが・・・
 このようにストーリーを書いていても、どこかしら陳腐なように思えてきて、この映画が面白いという風には伝わらないような気がしてくる。
 しかし、だまされたと思って一度、観て欲しい。後悔しないはずである。
 何が良かったかといえば、やはり、蘭子を演じた黒木芽以と、トントンを演じた紀培慧(テレサ・チー)が、まるで本当の姉妹や友人のように、言葉の壁を超えて分かり合い、友情を育てていくプロセスがとても自然で、二人の演技力と、背景に映し出される台湾の景色の美しさが、作品をいいものに引き上げているのだろうと感じさせられる。

© 2021 Nojima Tsuyoshi