2015/03/17

中華エンタメ

 韓国映画は、緊張感を最後まで持たせることがとても上手い。もうすぐなくなるシネマート六本木の試写会で見たのだが、2時間近い映画で後半の1時間はドキドキされっぱなしで引き込まれた。
  

 「海にかかる霧」公式HP こちらから

 韓国でも漁業は大変らしい。チョルジュという船長は、かさんだ借金を返済するため、中国にいる朝鮮族の密航を引き受ける。海上で密航者を引き受けたが、いくつかのトラブルが重なった結果、とんどもない船上殺戮の方向に話は進んでいく・・。
 この作品をプロデュースしたのは「グエムル 漢江の怪物」(面白かった~)などの監督を務めたポン・ジュノ。これは実際におきた「テチャン号事件」をもとにした舞台の映画化でもある。2014年の米アカデミー賞の韓国代表作品にもなったという。
 船上サスペンスって、意外に見たことがあるようでなかった。飛行機サスペンス、列車サスペンス、バスサスペンスなどは見てきたけど。あ、タイタニックがあったか。でもあれは基本はラブロマンス。この作品のように基本、人間の暗黒面を描き出しながら、スリルを高めていくのは見たことがない。結構制作費も安く済みそうだし、船一隻つぶせばいいんだから。船が沈むって、やっぱり一つのシーンとしてカタルシスがあると思った。
 セウォル号事件の数ヶ月後に韓国で上映されたというが、反発を招くこともそれほどなく、けっこうなヒットになったらしい。
 それにしても、船における人間関係というテーマはなかなか面白い。作品のなかのセリフでできたが、船のなかはやはり乗組員は「運命共同体」であり、船長はみんあの「父親」であるということ。だからこそ、この映画で描かれているような悲劇が起きるわけだけど。
 それにしても、詳しくは言えないけど、オチもいい意味で裏切られてとても良かった。 

© 2024 Nojima Tsuyoshi