北京の盧溝橋にある中国人民抗日戦争紀念館に、10月23日、台湾抗日の展示コーナー「台湾抗日同胞史実展」が完成したというので、ちょうど今週北京を訪れたおり、およそ10年ぶりに足を運んでみた。市内から渋滞でおよそ1時間。遠い。でも見に行った甲斐があった。

中国人が台湾の抗日をどのように位置づけているのかは、これまで必ずしも体系的に理論化されてこなかったようなので、一つの新しい試みだと言えるし、こんな風に考えるのかと理解の助けになった。内容に対する細かい分析は後日にするとして、気づいた点をいくつか記しておきたい。

 ・入口の展示の説明には「台湾は古より中国の神聖かつ分割不能な領土である」が一言目にあった。そこからも、この展示は台湾政策の一環として作られたものであると強く印象づけられた。

・展示では、日清戦争以来1945年までの台湾での「抗日」を非常に詳細に紹介していた。資料はかなり台湾側に人を派遣して集めたのだろう。大変豊富にそろっており、かなり勉強になる。展示コーナーといっても4~5部屋にまたがった巨大なもので、小さな資料館レベルぐらいの規模があった。

・台湾での抗日を「共産党の歴史」ではなく、日本に抵抗した「中国人民」の歴史として広く位置づけている。そうでしか、共産党の中国で台湾の抗日を内在化させられないからだろう。台湾共産党についてはちょっと少しだけ紹介してあったが、49年以降の国民党の反共弾圧の紹介はなかった。

・見学にきているたくさんの中国人は、ほとんど台湾コーナーに足を運ばない。場所もちょっと外れているし、周知不足もあるのだろうが、興味自体あまりなさそうである。台湾抗日用のノートの書きおきにも、「歴史は忘れてはならない」とか「民族の苦難を思い出させた」という通り一遍の感想ばかりで、台湾の抗日のことを詳しく知りたいと思っている人がいるようには思えない。

© 2019 Nojima Tsuyoshi