2017/02/07

執筆・出版

 台北故宮の月刊「故宮文物」2月号に、大阪の東洋陶磁美術館で現在も開催中の汝窯の特別展に関する拙論が掲載されました。とてもレベルの高い内容の刊行物ですし、故宮に関する研究・執筆をやってきた人間としては、ここに自分の原稿が載っているのはなかなか感慨深いです。
 それにしても、この文章のなかには、2014年に行われた東京国立博物館の台北故宮展が事実上失敗した展覧会だったという趣旨のことも触れているのですが、そのまま載せられていて、たいへん驚きました。当事者の博物館やメディアはまったく総括していませんが、あの故宮展が実際は成功と呼べるものではなかったことは拙著「故宮物語」などで、私がかねてから主張してきたことです。しかし、中国美術の業界の人は一般的に展覧会に対する客観的な批評を嫌がるのでほとんど無視されてきました。それに比べ、「故宮文物」は編集スタンスが相当リベラルなのか、あるいは、前政権のことだからなのか・・。いずれにせよ、非常にありがたいことだと思います。
 ちなみに、この汝窯の展示は3月末までですが、日本に初めて門外不出の汝窯の最高級である無紋水仙盤が来ておりまして、ちょっとなかなか見逃したくない展覧会です。関西方面の方、ぜひ一度参観をお勧めします。

特別展「台北 國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆」
会場:大阪市立東洋陶磁美術館
会期:平成29年3月26日(日)まで

※展覧会についての詳細はこちらをご覧ください。

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