おとといの夜は、NHK放送文化研究所の山田賢一さんに、蔡英文のメディア政策をテーマに「台湾新政権が重視するメディアの公共性」と題して講演いただきました。霞山アカデミーメディア研究会のメンバーだけではなく、外部からも多くの参加をいただきました。
 台湾メディアの歴史から振り返り、現在の蔡英文政権下で進んでいる「公共放送の充実」「財閥のメディア支配の排除」に二つに焦点をあてて、公共テレビの理事会の方針と東森テレビなどの買収案件について、非常に丁寧なファクトのフォローと長年の観察による鋭い洞察を交えて語ってもらいました。

 私の長年の疑問だった「ニュースチャンネルも10個近くあって経営が成り立っているのか」という疑問にも、「ニュースチャンネルは政治的な影響力を含めて必ずしもお金儲けだけではない理由で維持されている」という明快なご説明をいただきました。蔡英文のメディア政策が具体的に見えるかどうかという質問には、蔡英文自身の具体的なコミットや発言は見えない、という回答でした。やはりここでも「神隠少女」なのですね笑。
 それはさておき、台湾のメディア政策において、民進党は、思想的なリベラリズムや、歴史的な自由拡大の発想、政治的な国民党への逆張りなどをもとに、中国資本の存在に常に神経をとがらせながら、その公共メディア政策を進めていくことになる、という観点を持てました。
山田さんのこの問題の研究は「放送研究と調査」から詳しく参照できます。リンクはこちら
 終了後は赤坂で一杯。山田さんが9年働いた金沢の銘酒を楽しみました。

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