2021/09/19
ノンフィクションの先達・平野久美子さんが書評で拙著『蒋介石を救った帝国軍人』を取り上げてくださいました。ありがとうございます!
「白団」が20年の長きにわたって続いた理由について、活躍の場を失った軍人たちが経歴を活かせて十分なリスペクトを受ける仕事を台湾で得たことで、「彼らは(日本に)帰りたくなかったのだ」と私は本書で結論づけているが、平野さんはそこに目を留めて、以下のように書いてくれています。さすがの着眼点です。
『このあまりにも人間くさいひとことに私は納得する。彼らは厚遇を受けながら軍人としてのプライドを保ち続けることができたし尊敬も集められた。もし戦後の日本で第二の人生を始めていたら、それこそ公職追放されひっそりと生きていただろう。私が東南アジア各国で出会った元日本兵、すなわちインドネシア独立軍に参戦した者やインパール作戦の逃避行中にタイやミャンマーに残留した兵隊たちも、白団のメンバー同様に「帰りたくなかった」のだと思う。彼らもそれぞれの国で必要とされている自分に気づき、異国に終(つい)の居場所を見つけた。』