2025/06/04

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先日関西学院大学で開かれた日本台湾学会の学術大会で、1874年台湾出兵に関する分科会報告「台湾出兵再考」を企画しました。有志による台湾出兵・牡丹社事件研究会を立ち上げ、3年間研究会活動を続けてきまして、今回はアカデミックな部分での途中経過報告でした。ありがたいことに分科会で2つのセッションを使わせていただき、4人の報告、2人のコメントという形式を取りました。私が企画責任者、座長は春山明哲さんにお願いしました。

松永正義さん、後藤新さん、羽根次郎さん、望月直人さんという4人のご報告に、春山さんと私の二人でコメントしました。

・松永正義(一橋大学) 「台湾出兵の目的――日本の台湾認識・植民地認識の視点から」
・後藤新(武蔵野大学) 「台湾出兵の決定過程-琉球人遭難殺害事件から出兵の決定まで」
・望月直人(琉球大学) 「『至大久保所説公法・万国公法』―『台湾出兵事件』交渉における『万国公法』の分析」
・羽根次郎(明治大学) 「1873 年副島渡清における中国対日外交とテクノロジー」

報告のタイトルは上記の通りで、詳しいことは省きますが、日本において台湾出兵の一連の経緯について知的空白があり、その空白を埋める作業として外交史や明治史から丁寧に事実確認をして解像度を上げるという問題意識のもとみなさん発表を準備した形です。皆さん頑張りすぎて(笑)、ちょっと深すぎるほどレベルの高い内容になりました。
昨年3月に日本台湾交流協会とりそなアジアオセアニア財団から助成をいただいて台湾からゲストもお招きして、物語も含んだ歴史学、人類学、メディア史などこの問題のフィールドを広げるような形で国際シンポジウムを実施しました。今回はアカデミズムの部分をぐっと掘り下げてみるということで、横軸の広がりと縦軸の深さを測れたのはとてもよかったと思っています。
来年中に「台湾出兵再考」でなにか成果物を出したいと思っています。お金の面も含めて頑張らないと。
毛利敏彦氏『台湾出兵』はすぐれた著書ですが、台湾部分が欠落した台湾出兵論になっているので、台湾のある台湾出兵論に修正しながら、日台関係の起点は1871年の琉球民漂流事件であることをしっかり提起できれば嬉しいです。
引き続き、皆さんにご支援をお願いできれば幸いです。

© 2025 Nojima Tsuyoshi