2013/01/29

中国

$私は書きたい

最近、鳩山元首相が中国を訪問し、尖閣諸島が係争地であるという話をしたというニュースがあった。このとき、鳩山氏は南京も訪れて、大虐殺記念館で深々と頭を下げている。台湾の友人から、台湾各紙の一面トップになっているところをメールしてもらった。日本ではベタ扱いの新聞もあったと思うが、中華圏の人からすれば大ニュースである。中国の新聞もかなりのところが一面で派手に書いていた。

元首相とはいえ、いまは議員でもなく、民間人だから、信条にのっとってどんな発言でも行動でも構わないという風に考えているのだろう。しかし、問題は鳩山氏の信条の是非はともかくとして、数年前に首相をやめたばかりの人が取った言動は、外国の一面トップのニュースになってしまうことであり、鳩山氏の「係争地発言」を聞いた人は、日本という国は一枚岩ではないと考えるだろう。南京での謝罪も、それ自体はほかの元首相もやっているが、尖閣諸島発言とセットになると、別の意味も出てくる。今後、彼らが日本人と議論するとき、「あなたの国の元首相がこんなことを言っているじゃないか」「こんなことをしているじゃないか」と持ち出してくるだろう。

実際に日本の内部をみれば確かに一枚岩ではないのだが、それはどの国も同じ。外に対しては国を一枚岩に見せるのが外交であるとすれば、鳩山元首相の行動は適切さを欠いたものだった。

ちょうど同じ時期、米国のゴールデングローブ賞の授賞式をやっていて、
クリントン元大統領がゲストとして登壇して、スピーチをやっていた。
本人もなかなか楽しそうで、在任中の物議を醸した行為はともかく、この人が米国社会からそれなりの尊敬と愛情を持たれていることは伝わってくる。

日本でも、細川元首相は陶芸など文化活動にいそしんでいるし、小泉元首相はもっぱら音楽やグルメ三昧だと聞く。それぞれ、国家利益や外交にかかわるとことからは一定の距離を保っていることは共通している。個人的には、鳩山元首相はほかの政治家にはないちょっと常人には計りがたいスケールの大きさ(嫌みじゃなくて)を感じていただけに、友愛という考えを広げていきたいなら、もう少し大きな視野に立って、地に足をつけた活動をやってほしいものだと思う。

© 2024 Nojima Tsuyoshi