2022/01/21

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大鹿靖明さん著『金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿』を読了。金融庁などで経済事件の摘発に活躍した主人公の佐々木清隆という人物を初めて詳しく知る。居合の達人のように事件に切り込むところと、大鹿さんの冷めた筆致がマッチングしており、最後まで息つく間もなく読ませた。
この本の主題は日本の平成経済事件史。この失われた20年とも呼ばれる期間に、日本経済が高度成長でためこんだ資産を、いかに怪しげな連中にやすやすとズタズタに食い物にされたか、それを我々が防げなかったのかが、痛いほどわかって喪失感が募った。
その根本原因が何なのか、結局は企業や組織のDNAなのか、あるいは「日本」そのものに重大な欠陥があるのか、答えは見つかっていないが根本原因の究明を諦めてはならない、という大鹿さんと佐々木さんの問題意識が最後にシンクロした点が見事。会社の元先輩のいい仕事に刺激を受けました。

本の情報:

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000357435

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