2026/08/05

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【夏の本棚】
阿部純一郎『兵士とリゾート』(慶應義塾大学出版会)

自転車で多摩丘陵を走っていていつもの尾根幹のコースから外れて稲城から聖蹟桜ヶ丘に向かうとき、小高い丘を越えることになった。ちょっとしたヒルクライムでハアハア言いながらペダルを踏んでいたら、向かって左側の森のなかで遠くに乗馬をしている様子が目に入った。森と道路の間にあるフェンスを見てみるとどうも軍事施設のようでなおさら不思議に思った。走り終わったあとに調べてみたらそこが「多摩ヒルズレクリエーションセンター」であることがわかった。ヒルズといっても森トラスト開発の商業施設ではなく、米軍施設である。ここには乗馬のコースだけではなく、ゴルフ場もあるという。広さは東京ドームの40個分あるらしい。東京都は国に返せと言っているが、国は動かない、あるいは動けない、ようである。日米地位協定で基地等は「必要でなくなったときは日本国に返還しなければならない」とされているが、在日米軍による詳細な利用データ(ゴルフ場やキャンプ場の年次利用者数など)が公にされていないため、返還を求めない政府の姿勢に疑問や批判の声があったという。そのあたりの経緯もこの『兵士とリゾート』という本を読んでいろいろわかった。最近はもうみんななんとなく諦めているようで国会でも議論にならないし、私も不勉強ながら多摩にこんな施設があることは知らなかった。いろいろ複雑な経緯は省いて一声でいえば、このレクリエーションセンターや日本各地の米兵向けゴルフ場は、朝鮮戦争やベトナム戦争で疲れ切った米兵たちを癒すためのリゾートであり、その必要がなくなったあともなんだかんだとまだ多くの施設が維持されているということのようだ。大もとには、戦後まもなくは日本にリゾートがなくて米兵が困っていたから各地にこうした米軍用のゴルフ場などのリゾートをたくさん作った歴史がある。それはいいとしても、ここも思いやり予算で運営が賄われていると思うが、リゾートは日本に増えたし、米兵も減っているし、円安でもあり、このあまりに広大な緑地、そろそろ返してもらってもいいんじゃないか。多摩レクリエーションセンターは年に一回は入場可能となって米国風のハンバーガーなどを楽しめるという。今年は10月18日らしいので暇があったらライドを兼ねて行ってみたい。

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